7×7×7 L2C手順をまとめてみる

この記事は、Speedcubing Advent Calendar 2020 23日目の記事「7×7×7 L2Cについて」の二つ目です。

というわけで最初の挨拶は省きます。

 

0.諸注意

これらの手順を使えるようになるべきか、と聞かれれば、はい、とは言えません。少なくとも、7×7×7(以降7と書きます)でsub3minするまで(3分以内に解けるようになるまで)は最初の数個だけ使えれば十分です。むしろ余計なものは覚えない方が良いかもしれません。7のタイムが2:30~2:40ぐらいになってからようやく効果が出てくる、ぐらいのものだと思います。

じゃあなぜ、こんな対象人数が日本に十数人ぐらいしかいなさそうなことを書くのかというと、面白いからです。正直、7の面白さの7割ぐらいは、このL2C手順にあるのではないかと思います。(個人の感想)さっきは、使える必要はない、とは言いましたが、使っちゃいけないというわけではありません。この記事を読んで、面白いと思ったそこのあなた!使いましょう!ロマンを追い求める、僕はありだと思います。キューブは楽しむのが一番だと思います。

もう一つ注意事項です。手順とは書いていますが、これらは暗記しないでください(最初のコミュテーター手順以外)。多くの手順が、基礎的な手順の応用、キャンセル、組み合わせになっています。手順の構造を理解して、それから使うようにしてください。

1.基本手順

図の後にコメントを入れていきます。

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←1-1,1-2→

1-1: Rw U' Rw' U' Rw U2 Rw'
1-2: Rw U' Rw' U' Rw U2 Rw'

ノーコメント。

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←1-3,1-4→

1-3: Rw U' Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'
1-4: Rw U Rw' 3Rw U' Rw' U Rw 3Rw'    
or   Rw U' 4Rw' 5Rw U Rw' U' 4Rw 5Rw'

これらが何回も出てきたコミュテーター手順です。筆者はコミュテーターについて詳しくないので、コミュテーターとは何か、とまでは話せませんが、この記事でコミュテーターと言えば、こんな感じの手順を指すことにします。1-4は好みによりますが、僕は前者です。

2.コミュテーター応用手順

1-3,1-4を応用した手順になります。

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←2-1,2-2→

2-1: Rw U' Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'
2-2: Rw U Rw' 4Rw U' Rw' U Rw 4Rw'   
or   Rw U' 3Rw' 5Rw U Rw' U' 3Rw 5Rw'

いきなりマニアックになってきましたね。2-1について言えば、1-3で右側から3層目を単独で回していたところを、3,4層目を2層同時に回すように変えただけです。2-2も同じように理解できると思います。
この手順の応用が後で大量に出てきます。

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←2-3,2-4→

2-3: Rw U' 3Lw' U Rw' U' 3Lw
2-4: Rw U' 4Lw' U Rw' U' 4Lw

これらは、1-3で右側から3層目を単独で回していたところを、3Lwまたは4Lwの回転に変えるだけです。
この手順の応用も大量に出てきます。

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←2-5,2-6→

2-5: Rw U' Rw' 3Rw Lw' U Rw' U' Rw 3Rw' Lw
2-6: Rw U' Rw' 5Rw U Rw' U' Rw 5Rw'

応用の仕方はこれまでと全く同じですね。F面でそろっていない箇所(黄色のピース)に合わせて、途中の回転を少し変えるといった感じです。
一見有用そうですが、残念ながらこの二つはほぼ使ったことがありません。

3.キャンセル手順

キャンセルを起こして(手順を省略して)、手数を減らした手順です。もちろん、これまでの手順の応用になります。

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←3-1,3-2→

3-1: Rw U Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'
3-2: Rw U' Rw' 3Rw U' Rw' U Rw 3Rw'  
or   Rw U 4Rw' 5Rw U Rw' U' 4Rw 5Rw'
 

3-1は、Rw U (U Rw' Rw U') Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw' のカッコの部分を省略したものです。
3-2も同じ構造です。
これは、超多分割(6×6×6以上のキューブ)やってる人なら知っている人も多いのでは?
超使います。

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3-3

 3-3: Rw U 3Rw' 4Rw U Rw' U' 3Rw 4Rw'

3-1,3-2と同じですね~
簡単ですがめったに出てきません。

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←3-4,3-5→

 3-4: Rw U Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'
3-5: Rw U' Rw' 4Rw U' Rw' U Rw 4Rw'   
or   Rw U 3Rw' 5Rw U Rw' U' 3Rw 5Rw'

3-1,3-2の2層回しバージョンです。
3-1,3-2と2-1,2-2が理解できていればわかると思います。
まあまあ使います。

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←3-6,3-7→

3-6: Rw U 4Lw' U Rw' U' 4Lw
3-7: Rw U 3Lw' U Rw' U' 3Lw

3-6は、Rw U (U Rw' Rw U') 4Lw' U Rw' U' 4Lwのカッコを省略したものです。
かなり使います。

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←3-8,3-9→

3-8: Rw U' 3Lw' U' Rw' U 3Lw
3-9: Rw U' 4Lw' U' Rw' U 4Lw

上に同じ。

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←3-10,3-11→

 3-10: (U') Rw U2 4Lw' U Rw' U' 4Lw
3-11: (U') Rw U2 3Lw' U Rw' U' 3Lw

(最初のU'のカッコは開始面を調整する回転であることを言っているだけなので特に気にしなくていいです。)
3-6~9までがわかったあなたなら理解できるはず!!!

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←3-12,3-13→

 3-12: Rw U2 Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'
3-13: 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'

3-12は、Rw U' (Rw' Rw) U' Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'
3-13は、(Rw U Rw' Rw U' Rw') 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw' のカッコを省略したものです。
特に3-13は有名ではないでしょうか。比較的判断しやすく、減らせる手数も大きいので覚えておいて損はないと思います。

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←3-14,3-15→

 3-14: Rw U2 Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'
3-15: 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'

3-12,3-13の応用ですね~

4.ロマン手順

人間の本能に背いたような手順ばかり出てきますが、使えると嬉しい。

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←4-1,4-2→

4-1: Rw U2 Rw' U Rw U' Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'
4-2: Rw U Rw' U Rw U' Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'  
or   (U) Rw 3Lw' U Rw' U' 3Lw

4-1と4-2の前者は2-1の型に持っていって処理する方法です。こちらはまだましでしょう。僕も、たまに使えます。
4-2の後者?ん~、なかなかいかつい手順ですね。最初に4-15後者の手順を思いついてそれを応用したものなのですが、もちろん使えたことはありません。

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←4-3,4-4→

 4-3: Rw U' Rw' U Rw U' Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'
4-4: Rw U Rw' U2 Rw U' Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'

これらも2-1の型に持ち込むタイプですね。
4-3はアメリカの多分割er、Aryan Kejriwal 氏が使用していたのですが、初めて見たときは驚きでした。とはいえ、これを知ったおかげで様々な派生手順を生成することができました。

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←4-5,4-6→

 4-5: Rw U 3Lw' U Rw' U' 3Lw Rw U' 3Rw' 4Rw U Rw' U' 3Rw 4Rw'
4-6: Rw U' 3Lw' U' Rw' U 3Lw Rw U' 3Rw' 4Rw U Rw' U' 3Rw 4Rw'

4-5は、3-7を使った後にコミュテーターで処理しています。
実はこれもAryanさんから盗みとった手順です。

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←4-7,4-8→

 4-7: Rw U' 3Lw' U' Rw' U 3Lw U2 Rw U' 3Rw' 4Rw U Rw' U' 3Rw 4Rw'
4-8: Rw U 3Lw' U Rw' U' 3Lw U2 Rw U' 3Rw' 4Rw U Rw' U' 3Rw 4Rw'

4-5,4-6に同じ。

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←4-9,4-10→

 4-9: 3Rw' 4Rw U2 3Rw 4Rw' U Rw U2 4Lw' U Rw' U' 4Lw
4-10: Rw U2 Rw' U' Rw U 3Lw' U Rw' U' 3Lw Rw U' 3Rw' 4Rw U Rw' U' 3Rw 4Rw'

4-9は、4-5に持ち込めそうですが、こっちの方が短いです。
4-10はRw U2 Rw'で4-5に持ち込んでいます。

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←4-11,4-12→

4-11: Rw U Rw' U Rw U Rw' 4Rw U' Rw' U Rw 4Rw'
4-12: (U') Rw U' Rw' U' Rw U' Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'

4-11は、2-2に持ち込んでいます。
4-12は特に気にしなくて良いです。

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←4-13,4-14→

 4-13: Rw U Rw' U2 Rw U Rw' 4Rw U' Rw' U Rw 4Rw'
4-14: Rw U2 Rw' U' Rw U 4Lw' U Rw' U' 4Lw   
or   (U') Rw U Rw' 3Rw Lw' U Rw' U' Rw 3Rw' Lw

4-13は、2-2へ。4-14は、3-6へ。

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←4-15,4-16→

 4-15: Rw U' Rw' U' Rw U Rw' 3Rw U' Rw' U Rw 3Rw'   
or   (U') Rw 4Lw' U' Rw' U 4Lw

4-16: Rw U' Rw' U' Rw U Rw' 4Rw U' Rw' U Rw 4Rw'  
or   (U') Rw 3Lw' U' Rw' U 3Lw

おっと、またやって来ましたね、問題児。おとなしく前者の手順を使って良いと思います。

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←4-17,4-18→

 4-17: Rw U Rw' U' Rw U Rw' U2 Rw U' Rw' 4Rw U Rw' U' Rw 4Rw'  
or   Rw U2 Rw' U Rw 4Lw' U' Rw' U 4Lw

4-18: Rw U Rw' U' Rw U Rw' U2 Rw U' Rw' 3Rw U Rw' U' Rw 3Rw'   
or   Rw U2 Rw' U Rw 3Lw' U' Rw' U 3Lw

前者はいつものアレに持ち込みましょう!
後者は…、例の問題児に持ち込むものですが、使えたことはありません。

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4-19

 4-19: (U) Rw' 3Rw U2 Rw 3Rw' U' Rw U' Rw' U2 3Rw U2 3Rw'   
or   Rw U' Rw' 3Rw U2 Rw 3Rw' U Rw' U' Rw' 3Rw U2 Rw 3Rw'

おなじみAryanさんが後者の処理を行っていたので載せてみましたが、前者の方が短かったです。

 

 

以上です。お疲れ様でした。

最後の挨拶は元の記事でまとめてさせていただきます。

7×7×7 L2Cについて

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2020 23日目の記事です。

昨日の記事はタニシさんの「Megaminx BLDへのいざない」でした。
明日の記事はenots_piさんの「技術面以外の記事になると思います」です。

 

 

 

 

NR記念に書きますって言いたかった…

 

 

 

 

この記事は、7×7×7のキューブ(以降7と書きます)を自力で解くことができる方を対象としています。

 

1.はじめに

皆さん、こんにちは。はじめまして、お久しぶりです。KUbersのkazuと申します。

 突然ですが、7に関する記事って少ないですよね。公式競技化されている種目の中で一番少ないのでは?理由の一つ目は競技人口の少なさでしょう。日本で7の単発記録を持っているのは99人!(2020年11月現在)ハードルの比較的低い開眼競技で100人を超えていないのは7だけ!う~ん、7解くのってめんどくさいですもんね…

二つ目の理由は、特に書くことが無いからでしょう。5×5が解ければ7も大体どう解けば良いかわかるし、細かいテクニックとかになると逆に無数にあるので書けないし。結局、海外の偉い人のexample solvesとかを見て、ある程度テクニックを吸収した後は、ひたすら7を回し込む、というのが7上達への最短経路になってしまうのですよね。

しかし、他の競技の応用を利かしにく、このアドカレで紹介するのにちょうどいいネタが一つあるのです。それが、L2C(ラスト2センター)になります。

2.諸注意

 筆者は右利きなので手順等は全て右利き用のものになっておりますが、左利きの方やL回転の方が得意な方は左右対称に考えてみてください。

残念ながらyauの方にはご自分で手順を工夫してもらう必要がありますが、少しでも参考になれば幸いです。

3.回転記号

この記事では3×3×3で使われる回転記号(R,L,U,D,F,B等)に加え、2層回しとn層回し(つまり3層以上を同時に回す)の回転記号を使います。2層回しは回転記号にwをつけたもの(Rw,Lw等)で表し、n層回しは、2層回しの記号の先頭に回す層の数をつけたもの(nRw,nLw等)で表します。例えば、5Rwなら、右側5層を同時にR方向に90°回し、3Lw’なら、左側3列を同時にL’方向に90°回します。

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左が5Rw、右が3Lw'です

4.L2Cの解き方(ざっくり)

L2Cの解き方は他のセンターと比べて自由度が小さいとはいえど、下で紹介する方法が絶対ではありません。状況に応じて様々に工夫できます。ただ、基本方針として、この方法で解いていくことをおすすめします。

 他のセンターも同様ですが、基本的にライン(棒)を作って揃えていきましょう。揃える順番はできるだけ③→(①と②)→④→⑤の順にしましょう(①と②はどちらからでも良いです)。ある程度はやくなってきたら①と②を揃えた後に③を揃えるというのもありです。(①と②と③)→④→⑤という感じです。7を解いていたら気づいたかもしれませんが、この順番を崩してしまうと、コミュテーター(手順集にて紹介)を何回も使わないといけなかったり、一度揃えたところを崩さないといけなくなったりします。

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 さて、次に⑤列の揃え方です。まず、真ん中のパーツ(Ⅲ)とその隣のパーツのどちらか(ⅡorⅣ)を、M' U2 M などを用いてくっつけます。その、1×2もしくは1×3になったパーツと角のパーツ(ⅠとⅤ)をくっつけます。それを⑤列に入れれば、後はコミュテーターを使って完成です。

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このように解くことで、コミュテーターを使う回数は最高1回で済みます。特に初心者の方は、この方法固定で解いて、7に慣れていくのが良いかと思います。

とまあ文字とちょっとした図で説明してきましたが、これだけで伝えたいことが伝えられてるかどうかは怪しいので、いろんな人のyoutubeのexample solvesを見てもらえれば良いかと思います。

一応僕が昔撮ったexample solveを置いておきます。

6×6×6, 7×7×7: example solves - YouTube

いつかもっとちゃんとしたのを撮りたいな。

5.L2C手順集

L2C手順について話すだけで非常に長くなってしまいますので、もう一つ記事を用意しました。是非見てください!(どちらかというとこっちが本命)

kazusk.hatenablog.com

6.おわりに

 ここまで読んでいただきありがとうございます。

かなり解説を端折ってしまった気がしますが、L2Cについて書きたいことは大体書けたと思います。

本当は7×7×7全体についても、もうちょっと語ろうかなと思っていたのですが、長々しくなるのでこの辺で止めておくことにします。

この記事内で誤りを見つけた方や、もっと良い手順を知っているという方は、twitter等で教えてもらえるととても嬉しいです。

では。